夢を忘れた眠り姫
『そしてその場にはあなたにも同席していただきたい。そうするとやっぱマンションで話し合うのが一番なんですよねー』

「ええ…」

『そこでお互い情報を共有し、整理して行きませんか?』

「……分かりました」


相手に見せる為ではなく、自分自身を納得させるようにコクりと頷きつつ貴志さんは言葉を繋いだ。


「それが一番ベストな選択でしょうね。お待ちしておりますので、どうぞお越し下さい」

『ご理解いただいてありがとうございます。では、彼女に代わって下さい』


指示通り、貴志さんは私にケータイを差し出した。


「…はい、ゆめです」

『って事だから、今から行くわ。ただ、悪いけどどんなに急いでも一時間はかかっちまうと思うんだよな』

「それはもちろん大丈夫です。私のわが儘で来ていただくんですから。本当にすみません」

『いんや。それはもう良いよ。じゃ、また後でね』

「はい。お気を付けて」


通話を終わらせ、ケータイをバッグに仕舞いながら私はこの上なく気まずい思いを抱きつつ貴志さんを見上げた。


「……すみませんでした。勝手に他人を呼び寄せてしまって…」

「いや、それは別に構わないよ」

「でも、突然押し寄せたハプニングに、とても動揺してしまって…」


言い訳の途中で再び指先が震え出し、みるみる全身に広がって行く。
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