夢を忘れた眠り姫
「いえ、ベンさんなら大丈夫だからお任せしました」


私がそう言った途端、何故か貴志さんは圧倒されたように黙り込んでしまった。


「…貴志さん?」

「ずいぶん内藤さんのことを信頼しているんだな」

「え?はい」

「彼には包み隠さず全てを話しているみたいだし」

「そうです。だってベンさんは…」
「だけど俺には話せない、と」
「え?」


同時に発言したということ、そしてあまりにも小さな呟きだったので、貴志さんの言葉は聞き取れなかった。


「あの、すみません。もう一度…」

「ま、いいや」


しかし彼はそう締めくくってさっさか話を進めた。


「で、探偵はその事実を掴み、周りにバラされて好奇の目を向けられたくなければ、それなりの誠意を見せるよう君を脅迫して来たと」

「あ、いえ。多分、その人物と揉めているという部分についてはまだ知らないと思います」


それに気付いたのならベンさんの存在も芋づる式に分かるだろうし。

彼の正体を把握していながら脅迫行為を行うなんて、そんな命知らずな事はしないハズだから。


「ん?じゃ、探偵は何に対してゆすって来たんだ?」

「その相手が、問題なのです…」


私は思わずため息を漏らしながら続けた。


「プライベートをひた隠しにしている人ですから。その人と私が繋がっているという事自体が、探偵にとっては色々と活用できるおいしいネタとなっている訳で…」
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