夢を忘れた眠り姫
「会場と同じ都内、もしくはその近郊に在住していて、ある程度時間を自由に使える立場の人じゃないと参加は難しいだろ。だからメンバーは必然的に専業主婦とか大学生とか、在宅勤務、自営業の人が大半を占めるよな。実際に俺達の時もそうだったし」

「ですね…」

「ゆめちゃんは当時大学生になったばかり。俺の方は、その頃ちょうど独立の為の準備期間中でバタバタはしていたけど、その気になれば時間は作れたから。息抜きも必要だと思ってあえて申し込んだんですよ」

「あ、ちなみに両親が亡くなる前の話です」


私はそこで補足した。


「懇親会は5月で、両親の事故は同じ年の12月でしたから」

「……そうなんだ」

「そして俺達は出会い、連絡先を交換して、そこから交流が始まり、現在に至ると」

「独立…って事は、内藤さんは以前どこかにお勤めだったんですね」

「ええ」


コクリと頷き、ベンさんは続けた。


「そこでの取引先はすべて企業でした。職場環境を快適に保てるよう、色々とサポートさせていただいていたんです。今は個人の依頼を引き受ける方向にシフトしましたけど」

「はぁ…」

「ま、大まかに言えば、業務内容は街の何でも屋さん、便利屋さん、的な?」

「いい加減にして下さい」


明らかに調子に乗ってきている様子のベンさんを私はピシャリとたしなめる。
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