夢を忘れた眠り姫
「そんな、わざとミスリードするような言い方をして。そこは別に隠す必要はないんですから、とっとと言っちゃって下さいよ」

「何だよ、つれないなぁ。ちょっとした遊び心だろ」


口を尖らせて拗ねている彼はほっといて、私は貴志さんに視線を合わせた。


「貴志さんは今おそらく、『ネットがきっかけで知り合った人物か…』なんて、かなり複雑な心境になっていると思います。『そんな簡単に打ち解けてしまって良いのか?』なんてね」

「え。いや、それは…」

「でも、ベンさんは大丈夫なんです。これ以上信用のおける人物はいません。だって、彼の立場でヘタなことをしたらとんでもない社会的制裁をくらいますから」

「へ?」

「実はべんさんは…」


ようやく告げる事のできたその真実に、貴志さんは最大限に目を見開いた。


「ちぇ。もうちょっと引っ張るつもりだったのに」

「そんなこと良いですから。とにかく、何が起きたのかをお話します」


ぶちぶちと呟くベンさんを軽く睨んでから、私は先程の探偵とのやり取りについて話を始めた。

あの時はこの上なくテンパってしまったけれど、貴志さん、ベンさんに囲まれて会話を交わしているうちに、すっかり落ち着きを取り戻せた。


……もしかしてベンさんはそれを狙って、わざとおどけてふざけてくれたのかな。

他人を叱る事で、私がシャンとするように。
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