夢を忘れた眠り姫
「結局探偵は調査を手抜きする事になったから、その判断は誤りだったんですけどね。って、あくまでも俺の勝手な推測ですけど」


スイーツの最後の一口を頬張って、ゴクンと飲み込んだベンさんは満足そうな笑みを浮かべながら話を進めた。


「ひとまず、奴への対処は現時点でできる事はここまで。あとは明日の動き方と、今後についてちょっと打ち合わせしとこう」

「はい」

「とりあえず、コレ片付けながら話そうぜ。二人とも全然手ぇ着けてねーじゃん。ほら、遠慮せずに食った食った」

「あ、はい」

「それではお言葉に甘えて…」


私と貴志さんはチキンを、ベンさんは二個目のスイーツを手に取り、それを食しながらあれこれ話し合った。

少し冷めてしまっていたけれど、それでも久々に食べたそれはため息が出るほど美味しかった。


「それじゃ、明日10時に迎えに来るから」


一時間ほどでディナー兼ミーティングはお開きとなり、そう言葉を残してベンさんは颯爽と去って行った。

翌日の大仕事に備え、私達はすぐに後片付けをし、順番にお風呂に入って早々に床に就く。


「じゃ…。行って来ますね」

「ああ。気をつけて」


迎えた土曜日、ベンさんに真の姿を見せないようにする為か、早くから起き出し身支度を整えていた貴志さんに見送られ、私達はマンションを出発した。
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