夢を忘れた眠り姫
「俺は入口付近にディスプレイされてた『今日のランチセット』ってやつで良いや。ナポリタンに目玉焼きが乗ってて超旨そうだったし」


テーブルの端に常備してあるメニューを手に取って開き、ベンさんにも見せようとした所で彼はそう宣言した。


「あ、そうなんですか。それじゃあ私は…」


しばし悩んだあと、ピザトーストに飲み物とスープとサラダのセットをつける事にした。

何となく1日に一回はパンを食べたくなるのだ。

それに、こういう昔ながらの喫茶店のピザトーストって、さぞかし美味しいのではないかと思う。


「すみません。追加注文お願いします」

「はい」


ベンさんが手を挙げながらカウンター内に向かって声を発すると、ウエイトレスさんが素早く近付いて来た。


「日替わりランチセット一つ、ピザトーストにAセットをつけて一つ、飲み物は両方ホットコーヒーで料理と一緒にお願いします」

「かしこまりました」

「それと今さらなんですけど、私こっちの席に移動しても良いですか?」

「ええ。大丈夫ですよ」


笑顔で快諾したあと、彼女はベンさんが元いた席の伝票をこちらに移動させ、カウンター内へと戻って行った。

マスターにオーダーを通してから新しいお冷やを手に再び現れ、テーブル上に置いたあと、探偵と私の空になったカップ、ミルクと砂糖を下げ始める。

もちろんベンさんの分も忘れない。
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