夢を忘れた眠り姫
「突然気まぐれに、自分の勝手な都合で呼び寄せても素直に応じるわ何時間でも話し相手になるわ、これでもかとばかりに支配欲を満たしてくれる存在だったから執着していただけです。でも、もう言いなりにはなりそうにないから『アイツいらね』ってなったんだと思います」

「落ち着けゆめちゃん」


だんだん興奮して来ていた私は、お煎餅をバリバリとむさぼりながらも口調は冷静なベンさんの言葉にハッとする。


「色々と不満はあるだろうけど、ちゃんとゆめちゃんにとって納得のいく結果になるよう話をまとめるから、もうちょっと待っててくれな」


「……はい。わかりました。お願いします」


答えながら内心ため息をつく。

ダメだな、私。

やっぱりあの男が絡むと、どうにもこうにも平常心ではいられなくなってしまう。


「あ。ところで」


その場に漂う気まずい空気を払拭するように、ベンさんが明るめの口調で話題を変えた。


「貴志さん、さっき何見てたの?」

「え?」

「パソコンでさ。何だかえらく熱心に閲覧してたから」

「あ、えっと…」


後頭部を右手でサワサワと撫でながら、貴志さんは何故か気まずそうな表情で返答した。


「何かしてないと落ち着かなくて…。ベンさんの事務所のホームページを開いたんです。頂いた名刺にURLが載ってたので」
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