夢を忘れた眠り姫
「…つまり自分がそうつけたいからじゃなくて、その方が受けが良いから流れに従ってるって事だよな?」

「だと思います」


少なくとも私はそうだった。

だけど哀しいかな、そういう小細工をしたとしても私のサイトが上位に浮上する事はなかったけど。


「作品のタイトルっていうのは、中身をダイレクトに『紹介』するものではなく、『伏線』になっているべきものなんじゃないのかな。最後のページまで読み終えた時に『ああ、この題名にはこういう意味が込められていたのか』っていうカタルシスを味わえるようなさ。そして物書きは、それを考える行程も楽しむものなんじゃないのか?流行ってるからそれに乗っかっとけ、っていうのは何だかな…と思う」

「あ。もちろん、周りに流されず、あくまでも独自の拘りを持ってタイトルを付けている方が大半だと思いますよ」

「そしてそこだけじゃなく、正直ストーリーもツッコミ処が満載で…。新規参入ではない、老舗の大手企業の本社勤務でありながら28才で人事課課長って。スピード出世にも程があるだろ」


途中から私の言葉は耳に入っていないようで、マウスを動かしながら貴志さんはさっさか話を進める。


「しかも舞台はオフィスなのに『○○は一日中パソコンの前にいた』とか、うっすーい業務内容の描写がちょろっと入るだけで、あとはひたすら主人公と相手役が社内でイチャイチャしているだけだし。仕事を舐めとんのか、と思う」
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