夢を忘れた眠り姫
貴志さんはどんどんエキサイトして行く。


「たとえありえない設定でも、その物語の中で成立していれば、充分に納得できる強力なバックグラウンドがあればそれで良いんだ。だけど残念ながらそういった部分が書けていない。しかも驚きなのが、ベストテンに入っているサイトの半数以上の作品が見事に同じようなタイトル、設定、ストーリー展開のものばかり。まさかこのサイトではこういう話以外書いてはいけない、なんて決まりがある訳じゃないよな?」

「い、いえ、まさか。そんなのはありません。っていうか、貴志さんそれ全部読んだんですか?」


自分とは全然関係のない人達へのダメ出しだというのに、私はかなりへこみながら何とか言葉を返した。

いや、関係なくはないか。

私も貴志さんが大いに疑問を感じている、そういう手法を真似した事のある作家だし。

底辺をさ迷っているから人の目に触れる機会が少なく、矢面に立つ事はないけれど。


「表紙に書いてあったあらすじと、本編の最初と真ん中辺りと最後の数ページに目を通しただけだけどな。それでも既視感満載なんだから、類似性は相当だよ。もしかして同一人物が何らかの理由で複数のサイトを作り、名前を変えて執筆しているのかと思った」

「俺も定期的にサイト内を見て回ってるから、その傾向には気付いてたよ」


私が項垂れている間にベンさんが答える。
< 230 / 277 >

この作品をシェア

pagetop