夢を忘れた眠り姫
「『こういうのが人気なんだ。こういう展開にすれば閲覧数が伸びるんだ。だったら私も真似しておこう。他にもそうやってるっぽい人はたくさんいるし、私もそれに倣わないと取り残されてしまう』という風に、あくまでも軽い気持ちで、だけど物書きとして最大の禁忌を犯してしまっているのではないでしょうか。オリジナルサイトの筈なのに、全体的に二次創作化しているというか。とても恐ろしい事態ですよね」


貴志さんはもう止まらない。


「まず、最も基本的な、大切な事を忘れているのではないかと思います。物語を考えるのが、小説を書くのが好きだからサイトを始めたんじゃないんでしょうか?だったら、誰かの書いた物を模作するのに一生懸命になるのではなく、『こういう話が書きたい。書かずにはいられない』と思うものをただ素直に書けば良い。反対に言えば、そういう情熱のもと産み出された作品ならば、たとえありきたりのネタを使っていたとしても魅力的で独創性のある物に仕上がる筈です。プロだってそうだと思いますよ。編集からあらかじめテーマを指定され、それに応えなくてはいけない場面も多々あるかとは思いますが、必ず自分なりのオリジナリティを追求し、伝えたいメッセージを込めている筈です」


ベンさんは腕を組み、フムフムと頷きながら貴志さんの弁論を聞いている。
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