夢を忘れた眠り姫
「だけど、たまたま今回俺の目に止まった人達は、テンプレ化された話を仕上げてそれで満足してしまっている。その心理が理解できないんです。サイト内で『主流』になったテーマには、必ず最初にそれを流行らせた人がいる訳ですよね。だったら自分も新しいブームの火付け役になる、くらいの気概を持って執筆活動を頑張れば良いのに。何の為に小説を書いているんだ?と思います」

「……やっぱり、血なんですね」


しかし私は暗い声音でポツリと呟いてしまった。


「物語を読んだら、それについて細かく批評せずにはいられないのは」

「…え?」

「そして物書きとしての心意気、プライドが欠如していると感じられる者を見つけたら、徹底的に扱き下ろさなくては気が済まない。まさしく、『鬼の編集』と呼ばれたお父さんの血を色濃く受け継いでいるんですね」


そう言った途端、貴志さんの顔色がサッと変わったのが分かった。

人間の『心が凍り付く』瞬間を、生まれて初めて目の当たりにしてしまった。


「あ…」


と同時にこの上ない後悔の念が押し寄せて来る。

私は今、言ってはいけない一言を口にしてしまった。

彼にとって、最も残酷な言葉の礫をぶつけてしまった。


「……そうだな」


しばしの間のあと、貴志さんは静かに言葉を発しながらパソコンをそっと閉じた。


「小説を書けない俺がこんな偉そうに、誰かを批判する権利なんかなかったよな」
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