夢を忘れた眠り姫
山瀬さんの言葉に他の先輩方も続いた。


「んー、まぁ、それは確かにそうなんだけどさ。ただ、この私が、親に紹介するほど進んでいた二人の関係性をまるで察知できなかったってのがやっぱ不思議だなーと」


近藤さんは首を傾げながらオムライスの山をスプーンで削り取り、口元へと運んだ。

そしてもぐもぐした後続ける。


「私の千里眼を持ってしても見抜けなかったんだから、ホテルでばったり会わなければ、永井さん達が付き合ってるなんて誰も気がつかなかったでしょうね」

「あ、そうそう。『親に紹介』といえばさ」


そこで山瀬さんが話題を転換させた。


「二人の関係を知ったのも驚きだったけど、貴志さんのお母さんを見た時もすごく衝撃を受けたんだよね。『え?この人が彼の母親なの?』って。超美人で、そしてえらくキツそうな人だなーと」

「あ、私も同じこと思った」


近藤さんが興奮気味に同意する。


「貴志さんとは全くタイプが違うよね。一応愛想良く挨拶はしてくれたけど、向けられた視線が私達を値踏みするかのようにねっとりと上下に動いてさ」

「うんうん。目の奥が笑ってなかったもんね」


母親の本質をズバリ言い当てている二人のその解説に、私はとても感心した。

近藤さんだけでなく山瀬さんも、やはり沢山の人とコミュニケーションを取っているだけあって卓越した審美眼、観察眼の持ち主なんだなと。
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