夢を忘れた眠り姫
知りたがりで世話焼き、お節介な性格というのは、良い方向に働けば色々と得るものがあるのだという事を実感する。


「あの人がお姑さんになったらすこぶる苦労しそうだな~なんて。…あっ、ごめん。永井さんの前でこんなこと言っちゃって」

「そうよね。近い将来、そうなるかもしれないのに」


二人は途端に慌て出した。


「無神経でごめんね?今のは忘れて」

「貴志さんにも、くれぐれも内緒にしてね」

「はい」


そんなことわざわざ報告しませんから安心して下さい。

それにあえて伏せなくても、私はもう彼とは話をする事はできないかもしれませんから…。

そう心の中で呟きながら、私はサンドイッチにそっとかぶりついた。

そんなランチタイムを終え、午後の業務も次々とやっつけて、1時間ほど残業した後帰る事にした。

デスク周りの整理整頓を済ませて席を立ち、貴志さん含む、さらに残る予定の方達にまとめて「お先に失礼します」と声をかけながら室内を横切る。

それに対しての「お疲れ様」という言葉を背中に受けつつ廊下へと出たけれど、その中に貴志さんの声が含まれていたかどうかはよく分からない。

というか、あえて意識せずにさっさか歩を進めたから。

そんな場面でも無視されたのだという事に気付き、さらに落ち込む要素を増やしたくはなかったのだ。
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