夢を忘れた眠り姫
「そして君に、決定的に嫌われてしまったと思った」
私が否定の言葉を言い切る前に貴志さんは先を続ける。
「あの時、泣き出しそうな表情になっていたから」
そういう自分こそが、涙を流す寸前であるかのように顔を曇らせながら。
「専門家でもないのに調子に乗って他人の小説の批評をし、同じ立場である君を不愉快な気分にさせ、そしてきっと物書きにとっては心に刺さる一言を口にしてしまったのだと思った。だから君に合わせる顔がなくて、姑息にも逃げ回ってしまっていたんだ」
「や、やめて下さい」
嫌われた訳ではない事が分かり、その点に関しては叫びだしたいくらい嬉しいのだけれど、彼の誤解は直ぐ様解かなければならないと思い、私は慌てて釈明した。
「貴志さんがそんなに気を使う必要なんかありません。私には傷付く権利なんかないんですから」
胸の奥底から沸き起こってくる歓喜によって、どうしようもなくドギマギと弾む鼓動を必死になだめつつ。
「完全なる八つ当たりであんな暴言を吐いてしまったんです。昔の古傷を思い出して、つい…」
「古傷?」
その部分を突かれ、一瞬躊躇したけれど、もうここまで来たら言ってしまおうと覚悟を決め、カミングアウトした。
「実は私……高校生の時に、隅谷書房が主催した恋愛小説のコンクールに応募した事があるんです」
私が否定の言葉を言い切る前に貴志さんは先を続ける。
「あの時、泣き出しそうな表情になっていたから」
そういう自分こそが、涙を流す寸前であるかのように顔を曇らせながら。
「専門家でもないのに調子に乗って他人の小説の批評をし、同じ立場である君を不愉快な気分にさせ、そしてきっと物書きにとっては心に刺さる一言を口にしてしまったのだと思った。だから君に合わせる顔がなくて、姑息にも逃げ回ってしまっていたんだ」
「や、やめて下さい」
嫌われた訳ではない事が分かり、その点に関しては叫びだしたいくらい嬉しいのだけれど、彼の誤解は直ぐ様解かなければならないと思い、私は慌てて釈明した。
「貴志さんがそんなに気を使う必要なんかありません。私には傷付く権利なんかないんですから」
胸の奥底から沸き起こってくる歓喜によって、どうしようもなくドギマギと弾む鼓動を必死になだめつつ。
「完全なる八つ当たりであんな暴言を吐いてしまったんです。昔の古傷を思い出して、つい…」
「古傷?」
その部分を突かれ、一瞬躊躇したけれど、もうここまで来たら言ってしまおうと覚悟を決め、カミングアウトした。
「実は私……高校生の時に、隅谷書房が主催した恋愛小説のコンクールに応募した事があるんです」