夢を忘れた眠り姫
「え。そうだったのか?」

「はい。昔から空想するのが大好きで、思い付いたお話を落書き程度にノートにしたためていたんですけど、中学生くらいから本格的に書き始めるようになって」

「そんな前から執筆していたんだ」

「ええ。そのうち無料ホームページサイトの存在を知り、思いきって開設してそこに過去に書いた作品はもちろん新作も掲載して行きました。人気サイトの作家さんに比べれば微々たるものだとは思うのですが、読者の方からちょこちょこ反応をいただけるのが嬉しくて、創作意欲に満ち溢れていた頃にそのコンクールの存在を知ったんです。あ、といってもそれは『ケータイ小説』ではなくて紙媒体で投稿するものでしたけど」


その時の、期待と不安がない交ぜになった気持ちがふいに甦る。


「『応募作品にはすべて目を通し、落選した物にもきちんと編集部が批評をつけて返却する』というシステムがとても魅力的で。自分の作品が入選するとは最初から思っていませんでしたから。プロの方の意見を聞く絶好の機会ですもんね」


だがしかし……。


「でも、思っていた以上に講評は散々でしたけど」


私は苦笑いを浮かべながら続けた。


「色々書かれましたけど、要約すると『キャラクターが魅力に乏しくストーリーに独創性がない。どこかで見たエピソードのオンパレード。そして何より、小説の書き方というものをまるで分かっていない』というような評価でした」
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