夢を忘れた眠り姫
「手厳しいな…」

「でも実際に、大賞や、その他の賞を受賞した方達の作品を拝見しましたけど、もう、レベルが全然違い過ぎていて、編集さんの意見も全面的に納得できました。むしろ『こんな稚拙な物を読ませてしまって、無駄な時間を過ごさせてしまって申し訳ない』という気持ちでいっぱいになりましたよ。でも、いつかその方達に認めてもらえるのを目標に、執筆活動を頑張って行こうとも思えたんです。だけど、書けども書けども私の作品が表舞台に出る気配はなく、それでちょっと迷走してしまった時期もありまして…」

「迷走?」

「貴志さんの指摘通り、閲覧数を伸ばしたいがために流行りの作風の後追いをしたり、不本意ながらも説明的文章になっている題名の付け方を真似してみたり。それでも結局読者は増えずにサイトの順位が浮上する事もなかったですけど」


言いながらとてつもなく恥ずかしくなった。

穴があったら入りたいとはこの事だ。


「だからそんな虚しくて不毛な事はすぐにやめましたけどね。そもそも隅谷書房の編集さんに『オリジナリティを追求するように。話をもっと練るように』と言われていたのに、それじゃ本末転倒だろうと」

「そうだったんだ…」

「そんなこんなで、あの時の貴志さんの至極真っ当な意見に逆ギレ状態になり、あんな残酷なことを言ってしまったんです。つくづく最低最悪な人間です。貴志さんにお気遣いいただけるような身分じゃないんです」
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