夢を忘れた眠り姫
「分かった。もう、この話はここで終わりにしよう」

「え…」

「お互いに、お互いの謝罪を受け入れよう。そしてきっちり許しあおう。そしてもう、これ以上引っ張るのはナシ」

「は、はいっ」


そんな寛大な妥協案、私に異論がある訳がない。

そもそも拒む権利もない。

なので力強く頷きながら、同意であることを示した。


「よかった。やっと謝罪のループから抜け出せたな」


そこで貴志さんは安堵したように『ふ』と笑みを溢した。

とても穏やかで優しくて紳士的な笑顔だった。

ホッとしながら、私も思わず破顔した。

こんな風に、彼と笑いあえる日が来るなんて…。

ほんの数分前からは考えられない出来事で、私はその奇跡に酔いしれた。

喜びを噛み締めた。

感動にうち震えた。

貴志さんに許してもらうことができて良かった…。

ホントに、ホントに、泣きたいくらいに嬉しい。


「だけどすごいよな、君」


すると貴志さんは顔に笑みを残したまま、からかうような口調で話を展開した。


「あの女を見事に言い負かして撃退したもんな」

「え。そ、そんな。別に負かそうとか思っていた訳ではなくて、とにかく必死で…」


そこで自分の発言内容を振り返り、遅ればせながら気が付く。


「あ。だけど、我ながら大風呂敷を広げちゃいました」

「ん?」
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