夢を忘れた眠り姫
終わった…。
これでもう私はあの男に翻弄されずに済む。
これからの暮らしを邪魔されずに済む。
大学一年のあの日誓ったように、自分一人の力で、強かにしなやかに人生の荒波を乗り越えて行くんだ。
そこで私はふいに、ある感情に突き動かされた。
こんな時間に迷惑かとも思ったのだけれど。
だけどやはり、そうせずにはいられなかった。
気付いた時には私は足早に部屋を出て、リビングへと向かっていた。
「貴志さん」
テレビを見ていた彼にソファー越しに声をかける。
毎日放送のニュース番組で、貴志さんの興味のある特集が放送される予定だったらしく「自分はそれを見終わってから入るから、お風呂は先にどうぞ」と言われていたのだ。
「ん?何?」
振り向いた彼に視線を合わせながら接近し、まず最初の用件を告げた。
「明日、会社帰りベンさんの事務所に寄って来ます。示談書が出来上がったみたいなので」
「あ、そうなんだ」
当該番組はちょうど終わりを迎えたようで、画面下にテロップが流れ始めた。
それを分かっていたからこそ、このタイミングにしたというのもある。
「ここに来てもらっても良かったのに」
「いえ。ベンさんの都合もありますし、それに私が寄った方が手っ取り早いんです。会社からならバスで5分くらいですから」
「へぇ。そんな近いんだ」
これでもう私はあの男に翻弄されずに済む。
これからの暮らしを邪魔されずに済む。
大学一年のあの日誓ったように、自分一人の力で、強かにしなやかに人生の荒波を乗り越えて行くんだ。
そこで私はふいに、ある感情に突き動かされた。
こんな時間に迷惑かとも思ったのだけれど。
だけどやはり、そうせずにはいられなかった。
気付いた時には私は足早に部屋を出て、リビングへと向かっていた。
「貴志さん」
テレビを見ていた彼にソファー越しに声をかける。
毎日放送のニュース番組で、貴志さんの興味のある特集が放送される予定だったらしく「自分はそれを見終わってから入るから、お風呂は先にどうぞ」と言われていたのだ。
「ん?何?」
振り向いた彼に視線を合わせながら接近し、まず最初の用件を告げた。
「明日、会社帰りベンさんの事務所に寄って来ます。示談書が出来上がったみたいなので」
「あ、そうなんだ」
当該番組はちょうど終わりを迎えたようで、画面下にテロップが流れ始めた。
それを分かっていたからこそ、このタイミングにしたというのもある。
「ここに来てもらっても良かったのに」
「いえ。ベンさんの都合もありますし、それに私が寄った方が手っ取り早いんです。会社からならバスで5分くらいですから」
「へぇ。そんな近いんだ」