夢を忘れた眠り姫
「作家は昔から懇意にしていた文具メーカー社長の一人息子が大のお気に入りで、その青年と母を結婚させるつもりでいたようです。何度も説得しましたが『ダメだ』『許さん』としか返答しない小説家に見切りをつけ、母は家を出て、父のアパートへと身を寄せたのです」
「へえー。やっぱり、つくづくアクティブな人だな」
「といっても、黙って家出した訳ではなくて、行き先はきちんと知らせておきました。隠したとしても父の元に行ったのは明白で、そして父はその頃まだ当該事務所に勤めていましたからね。居場所はあっけなく突き止められてしまうでしょう。予想していた通り作家は怒り心頭でアパートに乗り込んで来ました。しかし母の決心が揺るぎないものだという事を知ると『好きにしろ。お前などもう娘ではない』と捨て台詞を吐いて立ち去り、そしてその言葉通り、それ以降は一切連絡を取って来る事はなかったそうです」
「だけどそうなると、お父さんの立場が…」
「仰る通り、小説家はその会計事務所とは手を切り、別の事務所に税務相談をするようになってしまいました。所長さんは「気にするな」と言ってくれたようですが、一部のスタッフの方の視線が厳しく、父はとても居づらくなり、そこを辞める決断をしました。そして自分が育った群馬に、母を連れて帰る事にしたのです」
「やっぱり、そうなるよな…」
「へえー。やっぱり、つくづくアクティブな人だな」
「といっても、黙って家出した訳ではなくて、行き先はきちんと知らせておきました。隠したとしても父の元に行ったのは明白で、そして父はその頃まだ当該事務所に勤めていましたからね。居場所はあっけなく突き止められてしまうでしょう。予想していた通り作家は怒り心頭でアパートに乗り込んで来ました。しかし母の決心が揺るぎないものだという事を知ると『好きにしろ。お前などもう娘ではない』と捨て台詞を吐いて立ち去り、そしてその言葉通り、それ以降は一切連絡を取って来る事はなかったそうです」
「だけどそうなると、お父さんの立場が…」
「仰る通り、小説家はその会計事務所とは手を切り、別の事務所に税務相談をするようになってしまいました。所長さんは「気にするな」と言ってくれたようですが、一部のスタッフの方の視線が厳しく、父はとても居づらくなり、そこを辞める決断をしました。そして自分が育った群馬に、母を連れて帰る事にしたのです」
「やっぱり、そうなるよな…」