夢を忘れた眠り姫
「しかし資格と実務経験のあった父は地元の会計事務所にすんなりと再就職できました。そこからは彼の人生の中で最も穏やかで幸せな生活が続いたのではないかと思います。そして以前お話した通り、私が大学一年生の時に、両親は他界したのです」
合間合間に言葉を挟んでくれていた貴志さんは、それに関してはとっさにコメントできなかったらしく、一瞬沈黙が漂った。
なので私は急いで先を続ける。
「両親の死を嘆き悲しむ間もなく、慌ただしく日々は過ぎ去って行き、瞬く間に就活時期となり、その戦いを終えて希望の企業…つまり、今私達が勤めているコスモ電機から無事に内定をもらい、論文を仕上げて後は卒業を待つばかり…という頃、突然、祖父から連絡が来たのです」
話はここからいよいよ佳境に入る。
私は一旦言葉を切り、深呼吸をしてから話を再開した。
「彼いわく『数ヶ月前にガンが発覚し、手術を受けた。病床でふと、娘達は今何をしているのかが気になって、人を使って調べさせたら、なんと事故で亡くなったというではないか。一人でさぞかし心細かっただろう。良かったら会いに来ないか?』とのことでした」
「……え?」
「母から祖父との確執については聞かされていましたけど、あちらからわざわざ連絡をくれたということ、そして何より、やはり唯一の肉親への慕情が沸き起こって来てしまい、ついつい、会いに行ってしまったんです」
「まさか…」
合間合間に言葉を挟んでくれていた貴志さんは、それに関してはとっさにコメントできなかったらしく、一瞬沈黙が漂った。
なので私は急いで先を続ける。
「両親の死を嘆き悲しむ間もなく、慌ただしく日々は過ぎ去って行き、瞬く間に就活時期となり、その戦いを終えて希望の企業…つまり、今私達が勤めているコスモ電機から無事に内定をもらい、論文を仕上げて後は卒業を待つばかり…という頃、突然、祖父から連絡が来たのです」
話はここからいよいよ佳境に入る。
私は一旦言葉を切り、深呼吸をしてから話を再開した。
「彼いわく『数ヶ月前にガンが発覚し、手術を受けた。病床でふと、娘達は今何をしているのかが気になって、人を使って調べさせたら、なんと事故で亡くなったというではないか。一人でさぞかし心細かっただろう。良かったら会いに来ないか?』とのことでした」
「……え?」
「母から祖父との確執については聞かされていましたけど、あちらからわざわざ連絡をくれたということ、そして何より、やはり唯一の肉親への慕情が沸き起こって来てしまい、ついつい、会いに行ってしまったんです」
「まさか…」