夢を忘れた眠り姫
現時点ではカウンターに二人、テーブル席の一ヶ所に三人組が腰かけている。

メニューを見る限り軽食しかないし、気合いの入ったディナーの場としてここを選択する人はおそらくいないだろうと思う。

たいてい喫茶店というのは誰かとの待ち合わせやお茶休憩、何かの目的の前の時間潰し等に使われる事が多いもんね。

もちろん、お食事処としての地位を確立するべく、豊富なメニューを取り揃えているお店もあるけれど、とりあえずアルルカンは違うようだ。

実際に、今居る方達のテーブル上には飲み物か、せいぜいサンドイッチくらいしか乗っていなかった。

そういう事を考慮した上で、金曜の18時過ぎ、オフィス街近辺の喫茶店として、この客の入りはどうなのだろうか。

良いのだろうか悪いのだろうか。
マーケティングの知識は持ち合わせていないのでよく分からない。

ただ、経営者はあえてこの店を隠れ家的な存在にするつもりであったのだろうなということは推察できるけど。

メイン通りから見た時にちょっと複雑で分かりにくい立地もさることながら、店内の雰囲気からもそれが窺える。

照明は物の形を捉えるのに差し支えがないギリギリの明るさまで絞られているし、テーブル席のソファーは腰かけた際に、背もたれが頭よりも高い位置に来るようになっていて、なおかつ通路の絶妙な位置に観葉植物が配置されていた。
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