夢を忘れた眠り姫
そして今後の為にと、ケータイ番号とメルアドの交換を提案して来た。

会社のPCのアドレスはお互いに知っているけど、当然、プライベートなやり取りは禁止である。

『すぐに消しちまえば分からない』なんて考えは甘い。

システム管理課が定期的にチェックを行っていて、実際に、ラブラブメールを送り合っていた秘書課の女性と営業一課の男性にはペナルティが課せられた。


「現金そのものではないということで実感が持てないのかもしれないが、PCに限らず、会社の設備や備品を完全なるプライベートな用件に利用、使用するというのは横領に匹敵する行為である。その事を念頭において、今後も真摯に業務に取り組んで行ってもらいたい」という社長からの訓示が全社員に通達され、実質その犯人達は晒し者扱いになった。

そんな過程を見てしまったら、とてもじゃないけど恐ろしくて同じ轍を踏む気になんてなれない。


「そのメールで、もうちょっと詳しい情報を書いて送るから」

「分かりました」


今のところ「お母さんを騙す」という部分しか知らされていないけど、やっぱり周りに誰かがいる状況でそんなに深い話はしたくないものね。


「じゃあ俺は少し時間を置いてから帰るから。お疲れ様」

「はい。お疲れ様です」


そう宣言した貴志さんを残し、私は先に帰路につく事となった。
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