夢を忘れた眠り姫
なので私は別に共有でも構わないんだけど、中には拒絶反応を示す人もいるだろうし、もしかしたら貴志さんがそのタイプかもしれない。

もしくは反対に、料理を全くしない人で、そういった器具は揃えていないという可能性もある。

とにかく私はどうするべきなのか、後で要確認だな。

この部屋より半畳狭くなってしまうけど、それでもここにある家具類は全部持って行けるよね。

やっぱり【これ】をこの大きさにしておいたのは大正解だった。

私は自分のすぐ右手に位置する、チェストを土台にしているその箱を眺めた。

観音開きの扉の内部に写真立て等が鎮座している、その種類の中では一番小さくて一番安かったもの。

この部屋にはこれしか置けそうになかったから…。

値段的にも、他の物には手が出せなかった。

でも、大きさやグレードは関係ないもんね。

心の問題だから。

ただ、収納はクローゼットのみで押し入れがないというのがちょっと難点。

イコール布団が仕舞えないという事で、日中は畳んで部屋の隅に置いておくしかない。

今までは寝る前に、まず部屋の中央に置かれたコタツ(夏場はテーブルに変身する)をずらしてスペースを確保してから布団を敷いて寝ていたのだけれど、これからは常時出しっぱなしにしなくちゃいけなくなるし、さらに部屋が狭く感じることだろう。

かといって『だったらいっそのことベッドに切り替えるか』という考えには至らない。
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