夢を忘れた眠り姫
でも、多少煩くても、「お母さん」が古巣で変わらず生活してくれていて、その気になればいつでも会えるというのは私からしたらすごく羨ましい。

しかも女手一つで大切に育てられて来たみたいだし。


「いや、待てよ…?」


そこでハタと気が付く。

そんな溺愛している息子に、いつの間にやらくっついていた恋人役を演じなくちゃいけなくなるのか…。

結婚前に同棲してしまうような女性を。

いや、成人していて自分の力で生活している男女が一緒に暮らしたとして、何ら責められる筋合いはないと私は思うんだけど、彼のお母さんのような立場の人から見た時に、かなりのマイナスポイントになるのではないかと。


……あまり悩まずに引き受けてしまったけど、これってなかなかのヘビーな任務じゃない?

嫌味や皮肉やお小言を言われるのは覚悟しておかなければなるまい。

ちょっとお行儀が悪いけど、食事を続けつつメールのレスポンスを作成した。

先ほど浮上した、自分の荷物の取捨選択についてや不動産屋に行くのは私の方はいつでも大丈夫、何だったらこの連休中にでも、という事をせっせと書き込み、送信する。

その後食事を済ませ、後片付けまで終えて食後のコーヒーを手に再びコタツ前に腰かけた所でケータイが震えた。


「お、早い早い」


声を発しつつ、天板に乗せておいたケータイを手に取り内容をチェック。
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