夢を忘れた眠り姫
『ああ、不動産屋に報告さえ済めば、いつでも大丈夫だとは思う』

「えっと、計画としては、来週祝日がありますよね?その日に見積りに来てもらって、その次の土日のいずれかにはもうそちらに転居してしまいたいんですけど」

『……そんなに急に対応してもらえるのかな?しかも年末の差し迫った時期だけど』

「それは大丈夫ですよ。だって世の中にはホントに突然、夜逃げレベルで引っ越さなくちゃいけない人もいるでしょうから。料金さえ払えばきちんと請け負ってくれるハズです」

『いや、夜逃げって…』


おそらく苦笑いを浮かべているんだろうな、というのが分かる声音でそう呟いたあと、貴志さんは続けた。


『じゃあ、その件も日曜日に相談しておこう。まぁ、ただ単に同居人が入れ替わるだけだからあちらとしては「お好きな時にどうぞ」って言うだろうけど。で、引っ越し日時が本決まりになったら改めて俺から連絡しておくから。引っ越し当日はどうしてもバタバタと騒がしくなるだろうから隣近所への根回しが必要で、それを大家さんにやってもらえるように、不動産屋に話を通してかないと』

「そうですね」

『今のところ話し合うのはここまでかな…。あ、念のため確認だけど、○○駅までの行き方は分かるよね?』

「もちろんですよ。山手線に乗ればいいんですよね。っていうか、万が一知らなくてもいくらでも調べられますし」

『だな。ゴメン、いらぬお節介をやいて』
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