夢を忘れた眠り姫
「いえいえ」


それだけ何事にも慎重な人だということなのだろう。

先々の話、たとえば同居していく上でのルール等は日曜日に行おうという事で、ひとまず今日の所はこの辺でと、お互いに挨拶しあい、通話を終わらせた。

といっても私にはのんびりぼんやりしている暇はない。

すっかり冷めてしまっていたコーヒーを飲み干し、歯を磨いてお風呂に入ってスキンケアして、肌着だけ手洗いで洗濯して室内に干したあと、急いでコタツ前の定位置に戻った。

天板の端っこに常時置いてあるノートパソコンを目の前に移動させて開き、さっそく引っ越し屋さんの検索を開始する。


「やっぱなんやかんやで大手になっちゃうよね…」


色々とサービスを比較した後依頼する会社を決め、そこのホームページからメールフォームにて見積りの予約をした。

のちほど、客の住居から一番近い営業所の担当者が折り返し連絡をするというシステムのようだ。

今の所できるのはここまで。


「ひとまず寝るか…」


そう呟きつつ、私はパソコンや暖房の電源を切り、布団を敷いて部屋の明かりを消すと、素早くそこに潜り込んだ。

物理的な作業は残っているけれど、ひとまず住居問題に関してはもう悩む必要はなく、数日ぶりにぐっすり眠り、翌日、目覚めたのはだいぶ日が高くなってからだった。


「泥のように眠ったな…」


布団の上で上半身だけ起こしてぼんやりと呟く。
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