夢を忘れた眠り姫
ホント、最高な住み処をゲットできたよね、と内心ほくそ笑みながら家路を辿る。

そこから先は怒濤の展開であった。

引っ越すという事は、現在の住まいの不動産屋さんにも連絡を取らなくてはいけないという事で。

アパートに帰ってからさっそく電話して、今月中に退去する事に決めたのでその為の手続きの時間を取って欲しい旨を伝え、24日、仕事終わりに赴くことになった。

つまり世間がクリスマスムードで浮かれている中、23日に引っ越し屋さんに来てもらって見積りを出してもらってそのまま契約をし、24日にアパートを引き払う手続きをしてと、目まぐるしく動き回っていたという訳だ。


「やっぱり土曜日に決まりました」


もちろん、引っ越し日時は貴志さんに速やかに報告。


「ウチに朝9時に来てもらうので、そちらに到着するのはその2、3時間後になると思います」

『分かった。じゃあその旨不動産屋に伝えておくから』


言わずもがなで、連絡はすべてケータイで取り合い、職場ではお互い今まで通り、ただの同僚として何食わぬ顔で接していた。

そして迎えた引っ越し当日。

手慣れた様子の女性スタッフさん二人のサポートにより、案の定荷物の梱包作業は小一時間ほどで終わり、男性スタッフさんが大物と共にそれをトラックに運び入れた。


「まー、ホント急だったわねぇ」
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