夢を忘れた眠り姫
「皆にも声をかけようかと思ったんだけど、年末はそれぞれ忙しいだろうし、かといって全員の都合を合わせてたらいつになるか分からないからさ。私達だけで先に来ちゃったんだ」

「ごめんね?ぬけがけしたみたいで」

「いえ、そんな…」


たとえお誘いいただいていたとしても多分私は丁重にお断りしていただろうから。

休日まで職場の人と顔を合わせなくちゃいけないなんて超絶に煩わしい。


「あ、ごめん。貴志さん達、大切なお話中だったろうに」

「邪魔しちゃったね」

「いえ。僕達はもう帰るところだったから」

「あら、そうなの?」

「はい。じゃあ、そういう訳だから。母さん」


会話の途中で貴志さんは、近藤さん達から母親へと視線を移しつつそう言葉を繋いだ。


「え、ええ。またね」


引き続き母親はにこやかに対応している。

しかし。

先輩方が去り行く私達に顔を向け、手を振っている間に、私だけが気付くように、とてもきつい眼差しで睨まれた。

……完全に敵認定されてしまったようだ…。

私達は喫茶店を後にし、そのままホテルを出た。

あの二人にバレてしまったのだから、もう今さら別行動を取っても無意味だろうということで、私と貴志さんは肩を並べて家路を辿った。

といっても道中ほとんど会話はなかったけれど。
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