化学恋愛
5ℓ
朝になった。
目が覚めたのは10時。
学校にはいかない。
と言うか行きたくない。

………とか言いながら
本当はすっごい行きたい。
あの少女に会いたいっ!
名前知りたい、メアド知りたい。
でもだめだ。
この気持ちが収まるまで
学校には行かない。

俺は朝から適当なものを食べて
だらだらと過ごした。

何もせず、ただダラダラと…。


そして1週間が経った頃の夕方。
俺は相変わらずゲームしたり
友達とメールしたり
ダラダラと過ごしていた。

ピンポーン

インターホンがなった。
誰だろう。

ガチャ

ドアを開けると…そこにいたのは
あの少女だった。

「なっっ!?何でいる!」

俺は思わず叫んだ。
少女も少しビクついて言った。

「いや、葛西先生にプリント
渡してこいと言われたのです。」

何だ…そんなことか。

一瞬、ほんの一瞬だけ、
〝会いに来た〟という言葉を
期待していた自分がいる。

くそ、薬のせいなのに…。

俺は少女の持っている
プリントを奪い取って
ドアを閉めようとした。

バンッ

少女がそれを手で止めて言った。

「何で学校に来ないのですか?」

「ほっとけよ。」

俺はそう言ってうつむいた。

「葛西先生が心配してるのです。
早く学校に来て欲しいのです。」

少女が言う。
何だよそれ…。先生のせいで
学校に行けないのに…。

「うるせぇなっ、お前には
関係ないだろ、もうほっとけよ!」

俺はさっきとは違った
強く声を荒げて言ってしまった。
うつむいている俺は
少女の細くて華奢な足が見える。

少女がうつむいていった。

「ごめんなさい。」

ズキッ

心臓を大きなトゲが貫いた。
苦しい。

「う、」

言葉が出ない。

「でも、来て欲しかったのです。」

少女は下を向いたまま言った。
なんでそこまで…。

少女は顔を上げて俺の方を見て言う

「学校に来てくださいなのです。」

キラキラしたガラス玉みたいな
大きな目玉が夕日を浴びて
オレンジ色の光を帯びて
俺の目をまっすぐに見ていた。

「わ、分かっ…た。」
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