再現教室~死のリプレイ~
☆☆☆

そして、《リプレイ》が始まった。


教室の机はすべて後方へと移動され、中央には椅子だけが残っている。


入学式の詳しい内容は覚えていないけれど、ずっと椅子に座っていただけだからなんの問題もなかった。


続きはあたしが座った場所から一列隔てて座り、真っ直ぐ前を向いている。


これなら2人とも《リプレイ》を間違える事はない。


でも……もしも2人とも《リプレイ》に成功したらどっちも死なずに済むんだろうか?


それとも、2人とも死ぬまで《リプレイ》を続けさせられるんだろうか……?


窓の外はもう真っ暗になっていて、星が手の届きそうな場所に見えた。


続と2人でいるのに、全然ロマンチックじゃない。


星の輝きはただ切なさを加速させるだけで、あたしは窓の外から視線を逸らした。


そして、椅子に座っているだけで《リプレイ》は終わった。


《それではこれより、正確性を採点します》


そんな声をぼんやりと聞く。


「なぁ奏」


続が前を向いたままであたしを呼んだ。


「なに?」


「俺、お前の事好きだったよ」
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