再現教室~死のリプレイ~
「そうだよ。あたしたちはスマホを持っているのも疑問だったんだよね」


有紀が首をかしげてそう言った。


「疑問ってどういう意味?」


あたしは有紀にそう聞いた。


いまどきスマホを持っていない高校生なんてめったにいない。


「だってさ、本当に誘拐されたんだとしたら、誘拐する時にスマホを壊したりしそうじゃない?


 スマホで位置情報がわかるのは誰でも知っていることだし、外部と連絡を取られるかもって考えると、普通壊したり捨てたりするでしょ」


「あ、そっか……」


「それにあたし、スマホはポケットじゃなく鞄に入れてたの。それなのにここで目覚めた時制服のポケットに入ってた。


犯人がわざと入れたとしか考えられないよ」


確かに、有紀の言う通りだ。


全員のポケットにスマホが入っていたし、犯人が故意に入れたと考えるのが妥当だった。


「でも、なんでだろう? ここは電波も通じないから使えないのに……」


あたしは自分のスマホに視線を落とした。


相変わらず電波はない状態だ。


「なにか理由があるんだろうな」


続も首を傾げながらそう言った。
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