再現教室~死のリプレイ~
あたしは自分の机を隣の席とくっつけて、お弁当箱を広げる素振りをする。


昼休みはいつもこうして友人と机を囲んで食べているから、何も考える事なく体は動いた。


それから友人たちとどんな会話をしたか思い出しながら、慎重に《リプレイ》していく。


最近人気の曲や、新しいドラマで何を見ているとか。


日頃からしている会話を1人で進めていく。


そうしながら、自分の背中に汗が流れていくのを感じていた。


自分の《リプレイ》にどれだけ正確性があるのかわからない。


次に有紀のようになるのは……あたしかもしれない。


ゾクリと背筋は寒くなり、思わず続の方へ視線をやっていた。


続は真剣な表情でみんなの《リプレイ》を見守っている。


あたしも、できたら教室の外にいたかった。


そうすれば《リプレイ》の回数を少しでも減らせたのに……。


そう思った瞬間、違和感を覚えた。


あたし、今なんて考えた?


《リプレイ》の回数を減らせたのにって、それじゃぁまるで……ハッとして声が出そうになるのをどうにか飲み込む。


そうだ。


《リプレイ》は1回では終わらなかった。
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