再現教室~死のリプレイ~
そう考えても、あたしには何をする事もできなかった。


信一を引きとめても、代わりに誰かが死ぬ事には違いないのだから。


「さっきの傷は大丈夫か?」


続にそう言われあたしは「え?」と、聞き返した。


「《リプレイ》した時に机にぶつかっただろ?」


「あぁ……大した事ないよ」


あたしはそう言い、少しだけ皮がむけてしまった膝小僧を続に見せた。


血も出ていないし、痛みもない。


「ごめんな……」


「なんで続が謝るの?」


「俺、あんな事があったなんて知らなかったから……。昨日教室にいれば、2人の喧嘩を止める役割も俺がしたはずだったのに」


続はそう言い、悔しそうに唇を噛んだ。


その表情に、あたしは驚いて目を見開いた。
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