再現教室~死のリプレイ~
☆☆☆

真の死体は続と信一が運び、有紀の隣に寝かされて信一の上着がかけられた。


真は外に助けを求めたのか、教室のドアには血まみれの手形がいくつも残っていた。


「真、笑ってた……」


続が疲れた表情でそう言った。


やっぱり、真は千鶴を助けるために自分がわざと犠牲になったのだろうか?


千鶴へと視線を向けると、千鶴は入口の近くで座り込んだままうつむいていた。


その頬には涙の跡が光っているのが見えた。


千鶴の隣には信一が座り、その手をずっと握りしめている。


自分が死んででも千鶴を助けたかったんだ……。


真のその思いを想像するだけで、胸が締め付けられる思いだった。


真がそれほど千鶴の事を思っていても、千鶴は誰とも付き合ったりはしていなかった。


誰の気持ちも受け取る事はなかったんだ。


信一もまた、真と同じ気持ちを千鶴に持っているのだろう。


もし、万が一このまま《リプレイ》が続けられれば、今度は信一が千鶴の代わりに犠牲になるかもしれない……。
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