春うらら
「ね? 大丈夫」
にっこりと微笑む速見さんを呆然と見上げてしまう。
全然、大丈夫には思えません!
でも……まぁ、いいか。なんだか公然とサボれるみたいだよね。
せっかくのいい天気だし。社員の人にラチられたんなら、それもまたしょうがないと割り切ろう。
地下鉄からは徒歩八分の会社。すぐに右に折れると大通公園が見えた。
桜の名所としても有名な円山公園は、花見の時季になるとジンギスカンパーティーの場所となってしまうけど、札幌でも都市部にあるこの公園は両側がすぐ車道。
札幌を北と南に分ける、ひろーい公園。まわりはある意味でオフィス街だから、都会のオアシス的な感じなんだろうけど。
綺麗な桜に反比例して、煙もくもくのジンギスカン……も、なんだけど、排気ガスの中の花見もなんだか違うよね。
そんなことを思ってしまったけど、車はともかく、今公園にいるのは、お散歩中の老夫婦か、休日出勤なのか、せかせかと会社に向かう会社員さんが歩いているくらいだ。
晴天に見えるテレビ塔が鮮やかに赤い。
テレビ塔のゆるキャラ、テレビ父さんは元気かな。
速見さんはサクサクと自動販売機に近づいて、あたたかいコーヒーとミルクティーを買う。
「はい」
「ありがとうごさいます」
受け取ったミルクティーの缶にホッとしてしまうのは、まだ札幌が肌寒いせいだろうなぁ。
昼間はあたたかいけど、朝と夜はまだ寒いから、まだ上着が欠かせなかったりするんだよね。
昨日なんて昼間吹雪いたしさ。
ミルクティーの缶をピトッと頬っぺたにくっつけてぬくぬくしていたら、それを見ていた速見さんが同じように真似をする。
「……ふーん」
「…………」
ふーんって……さすがに扱い方に困るぞー?
思えば、速見さんを扱える人って少ないよね。
小さな広告の挿絵を描いてってお願いしたら、なんだか超大作を描かれたって困っている先輩がたくさんいた。
「あ、あの?」
「うん?」
話しかけると返事はくれたので、よし……気合い入れて会話をしてみよう!
にっこりと微笑む速見さんを呆然と見上げてしまう。
全然、大丈夫には思えません!
でも……まぁ、いいか。なんだか公然とサボれるみたいだよね。
せっかくのいい天気だし。社員の人にラチられたんなら、それもまたしょうがないと割り切ろう。
地下鉄からは徒歩八分の会社。すぐに右に折れると大通公園が見えた。
桜の名所としても有名な円山公園は、花見の時季になるとジンギスカンパーティーの場所となってしまうけど、札幌でも都市部にあるこの公園は両側がすぐ車道。
札幌を北と南に分ける、ひろーい公園。まわりはある意味でオフィス街だから、都会のオアシス的な感じなんだろうけど。
綺麗な桜に反比例して、煙もくもくのジンギスカン……も、なんだけど、排気ガスの中の花見もなんだか違うよね。
そんなことを思ってしまったけど、車はともかく、今公園にいるのは、お散歩中の老夫婦か、休日出勤なのか、せかせかと会社に向かう会社員さんが歩いているくらいだ。
晴天に見えるテレビ塔が鮮やかに赤い。
テレビ塔のゆるキャラ、テレビ父さんは元気かな。
速見さんはサクサクと自動販売機に近づいて、あたたかいコーヒーとミルクティーを買う。
「はい」
「ありがとうごさいます」
受け取ったミルクティーの缶にホッとしてしまうのは、まだ札幌が肌寒いせいだろうなぁ。
昼間はあたたかいけど、朝と夜はまだ寒いから、まだ上着が欠かせなかったりするんだよね。
昨日なんて昼間吹雪いたしさ。
ミルクティーの缶をピトッと頬っぺたにくっつけてぬくぬくしていたら、それを見ていた速見さんが同じように真似をする。
「……ふーん」
「…………」
ふーんって……さすがに扱い方に困るぞー?
思えば、速見さんを扱える人って少ないよね。
小さな広告の挿絵を描いてってお願いしたら、なんだか超大作を描かれたって困っている先輩がたくさんいた。
「あ、あの?」
「うん?」
話しかけると返事はくれたので、よし……気合い入れて会話をしてみよう!