レンタル彼氏


何かの間違い 間違いだよ
と自分に言い聞かせるが
思えば思うほど食べ物を目にすると
気分が悪くなる。


あっ!あれか!
想像妊娠。。。うん!きっとそう。



「円香 お昼行くよ」


美奈先輩に声をかけられ
「食欲ないから」と断るのに
「ダイエットでもしてるの?
ちゃんと3食食べないと体調悪くするよ
ほら!早く支度して」
と無理やり連れ出された。


連れ出された場所が
よりによって隣の店のカツ屋とか。。。
しかも よりによって
翔太も誘うとか。


店の外なのにこの匂いは非常にヤバイ
思えば思うほど気持ち悪い。


「円香?どーした?
顔色悪いよ?」


「そーですかぁ?
気のせいですよ」


と 美奈先輩は誤魔化せられたが
翔太の無言の視線がやけに痛い。


「美奈先輩オレ
カツじゃなくうどんが食いたいっす」


道路挟んで斜め左のお店を
指差す翔太。


「はぁ?カツじゃだめってこと?」


「はい!うどんが食いたいっす」


「もぉー仕方ないなぁ
可愛い可愛い翔太の頼みだから
うどんにするかぁ」


なんだか翔太に助けられた感がある
翔太がうどんの気分じゃなかったら
今頃カツ屋でゲボッと吐いてたかも。


美奈先輩が席を外した合間に
「オレってナイスでしょ?
感謝してくださいね」
と嫌味を言われ 素直でないあたしは
「別にぃ あたしカツでもよかったけど」
と心にもないことを言う。


「あっそーっすか
いいことしたと思ったのにな」


「まぁ!何よ 昨日から
訳わかんなこと言わないで!」
嫌な言葉も付け足すあたし。


本当はありがたかったよ
でも認めたくないんだ。


「うちの姉貴にそっくり」


「翔太のお姉さんと?
何が?」


「まぁ 色々っす」


「何が?」


そこに美奈先輩が戻って来たから
この話は打ち切られた。


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