ヘタレな野獣
事情を説明し、一旦人事でその男性を引き取って貰い、連休明けの定例会を終えた足で、我が部の部長を引っ捕まえ、人事部に殴り込んだ。



「だったからね?雨宮剛〈アメミヤツヨシ〉
雨宮剛〈アマミヤタケル〉
ね?誰だって間違うよね?こんな紛らわしい名前。
それにね?先方の営業に雨宮という人物が2人も居るなんて、ホント聞かされて無かったしね?」

どこで入手したのか、引き抜き先の社員名簿を目の前に広げ、頭を抱えながら必死で言い訳する人事部長。

冬子の隣では、これまた頭を抱えうな垂れる営業部長。

そんな2人に呆れ返る。

「信じられません、こんな初歩的なミス・・・大体履歴書を見れば、人違いだって事、容易に判るのでは?」

・・・・・

えっ?何?この不穏な間・・・

「だって!!!失礼でしょ?
あの会社の第一線で、バリバリ働いてるイッパシの男を捕まえて、今更履歴書も何も・・・」

・・・・・

ヒクッ・・・ヒクッ・・・

人事部長のその一言に、冬子の顔のあらゆる場所が痙攣を起こし始めた。

「たっ、田崎君?落ち着いて・・・ねっ?」

長年付き合う我が部の部長だけあって、私の異変を素早く察知し、宥めにかかる。


「大体ですねぇ、山田部長、貴方もいけないんですからね?何もかも我々に丸投げして」

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