ヘタレな野獣
だめだ、話にならない。

早々に話を切り上げ、別室に待機して貰ってるあの男に正直に事の経緯を話し、この話、無かった事にして貰おう・・・

こうしちゃいられない。

冬子は椅子から立ち上がろうとした矢先、タダならぬオーラが隣から立ち昇るのを感じ、恐る恐る視線をそちらに向けた。


「・・・まる投げ、したと?
田中部長、それは一体どういう意味です?
そもそも、そちらのリサーチ不足からの間違いという失態を、うちに責任転嫁されてもだねぇ・・・」

「しっ、失態ですとぉ?責任転嫁、ですとぉ?
聞き捨てなりませんなぁ、その言い方!」


はぁ、また始まっちゃったよ・・・


同期入社のこの2人、何かに付けて反発し合ってる。


「はいはいはいっ
お取り込み中申し訳ありませんが、・・・この事態一体どう対処なさるおつもりですか?」

冬子は2人の下らない会話に割って入った。

「「・・・・・」」
あらら、だんまりですか・・・


「あ、あのぉ・・・」

背後から消え入るようなか細い声が聞こえ、振り返る。

会議室のドアを少し開け、その隙間からこちらを伺う顔半分・・・

ガタッ

びっくりして椅子から落ちそうになる。

「あっ、あなたっ、そっそんな所で何してるの?向こうで待っているよう言いませんでした?」


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