雫に溺れて甘く香る
私だって、たまには女らしさを醸し出しますよ。

それが合コンならなおさらね?


鼻で笑いながら、ピアスをバックにしまっていたら、テーブル席の方で小さな歓声が上がった。

テーブル席には女の子ばかりが三人。
みんなキラキラひらひらフワフワと可愛らしい格好をしてる。


……まぁ、私はあそこまで可愛らしい格好が似合うとは言わないけどね。


どっちかって言うと、すこし大人びた顔つきって言われるから、可愛すぎる服装は似合わないと知っているし。

そう思っていたら、テーブル席近くに立っていた続木さんが、彼女たちの一人に声をかけ……くしゃりとその子の頭を撫でた。

思わず目を丸くすると、彼は他のお客様に呼ばれてその場を離れる。

……とたんに、不貞腐れたように頬を膨らませるその女の子。

ゆるふわに巻いた髪。フリルたくさんのブラウスに、ピンクのミニスカート。
顔は少し童顔だけれど、これぞ女の子だ!みたいに……甘くて可愛い。


ふーん?


「工藤さん」

呼ばれて振り向くと、篠原さんが首を傾げていた。

「続木は面倒なんじゃないかな。アイツ彼女いるよ?」

少し砕けた口調に瞬きを返して。それからふっと息を吐き出しながら笑う。

「……あそこにいるのがソレ?」

「うん。もう2年くらいになるんじゃないかな」

言いながら、篠原さんは視線を外すとグラスを手にとって拭き始める。

そっか。続木さんの好みって、可愛いお嬢さんなんだな。

真逆を行ってそうな、私じゃ難しい……。


そんな事を思って苦笑した。
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