雫に溺れて甘く香る
「休みくらい寝坊してもいいと思うが」

「……それだけしていたら後が大変でしょう?」

生活してれば洗濯物も溜まるし、ホコリも溜まる。

掃除だけは、昨日帰って来た時にやったけど……。

夜に部屋全体にコロコロとするのは大変な作業だった。

掃除機は休みが合わない時にやるしかない。

考えながらTシャツに腕を通し、それから起き上がろうとしたら……。

「寝てろ」

頭を枕に押し付けられた。

「洗濯したい」

「いいから」

「午前中にクリーニングにも行かないと」

「だから、いい」

「それに食べるものも買いに……」

「いいっつってんだろ」

キッと睨まれて、睨み返した。

私だって営業職。まかり間違っても、ヨレヨレのブラウスやシャツなんてご法度だよ。

続木さんだって、お店に着て行くシャツはクリーニング出してるじゃないの。

貴方は週休2日になる週もあるから、その時に出せばいいのかも知れないけれど、私はそうも行かないのよ。

確かに休みはぐだぐだしていたいから、そういう雑事を前の日に終わらせる事も……出来なくはないけれども出来ない時の方が多い。

昨日はお得意先の接待に借り出されたんだし、帰りには23時過ぎてしまっていた。

20時までに帰れれば、かろうじてクリーニングに出せたし、買い物も出来たかもしれないけれどね……!


続木さんは、肩を竦めてムクッと起き上がる。


「クリーニング。何時までに持って行けばいいんだ」

「今日中に持って帰りたいから、11時まで」

「どれだ?」

そう言って振り返る顔に、乱れた前髪がかかっている。

その影に見える眼は、思っていた以上に優しくて……。


身悶えしそうなんだけど!
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