黒猫の住処

7drop

家の前に来ると手が震えた。
やっぱり怒られるだろうか。
インターホンを震える手で押す。
ピーンポーン
中からドタドタと走る音がする。
お母さんが走って門まできた。
お母さんのスカートが風で揺れるのをぼんやりと見つめているとパァンという炸裂音とジンジンと痛む左の頬。
あぁ、叩かれたんだと理解した。
「どれだけ心配したとおもってるの!!自分のことを大切に思ってる人のことも考えなさい!!」
お母さんの目の下には隈ができていた。何日間寝ていないんだろうか。
「ご、ごめんなさ…ぃ」
全部言い切る前にギュッと抱きしめられた。昨日会った彼女たちが言ったように私を抱きしめる体は痩せ細っていた。
「ごめんなさい。こうするしかもう方法がなかったのよね。あなたの痛みに気付いてあげられなくてごめんなさい」
とお母さんは泣きながら言った。その言葉に私はどれだけ大事にされていたんだろうと私は実感した。
「ごめんなさい。お母さん」
と私は泣きながら言った。
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