あなたの「おやすみ」で眠りにつきたい。


「おはようございます」

オフィスに入ると、まだ誰もいなくて、私の挨拶は空しく宙に浮いた。

さすがに、この時間はまだ誰もいないか、と苦笑した。

いつも会社に着くのは早いほうだけど、今日はそれよりも30分は早いもんね。

私は自分の席に着いて、パソコンの電源を入れる。
パスワードを入力してメールのチェック。

朝一番の日課だ。

必要なものに返信のメールを作成していると、オフィスの扉が開いた。
思わずそこに目をやる。

入ってきたのは、春日くんだ。

「おはようございます。あれ、早いですね、今日は特に」

「おはよう。そう、仕事も大詰めだからね」

彼は自分の席に荷物を置いて、机上をあさっている。

「春日くんも早いのね」

「朝一番でアポ取ってるんですけど、資料忘れてしまったんですよ」

目当ての資料を見つけたのか、ファイルごと、紙を鞄の中に突っ込んでいる春日くん。

「中田さん、ちゃんと朝ごはん食べました?また貧血起こしますよ?」

度々、春日くんは私の顔をよく見てくるようになった。
目の前で貧血になっちゃったから、仕方ないかもしれないけど。

「大丈夫よ。あの日はたまたま体調が悪かっただけで」

< 113 / 234 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop