あなたの「おやすみ」で眠りにつきたい。
「おはようございます」
オフィスに入ると、まだ誰もいなくて、私の挨拶は空しく宙に浮いた。
さすがに、この時間はまだ誰もいないか、と苦笑した。
いつも会社に着くのは早いほうだけど、今日はそれよりも30分は早いもんね。
私は自分の席に着いて、パソコンの電源を入れる。
パスワードを入力してメールのチェック。
朝一番の日課だ。
必要なものに返信のメールを作成していると、オフィスの扉が開いた。
思わずそこに目をやる。
入ってきたのは、春日くんだ。
「おはようございます。あれ、早いですね、今日は特に」
「おはよう。そう、仕事も大詰めだからね」
彼は自分の席に荷物を置いて、机上をあさっている。
「春日くんも早いのね」
「朝一番でアポ取ってるんですけど、資料忘れてしまったんですよ」
目当ての資料を見つけたのか、ファイルごと、紙を鞄の中に突っ込んでいる春日くん。
「中田さん、ちゃんと朝ごはん食べました?また貧血起こしますよ?」
度々、春日くんは私の顔をよく見てくるようになった。
目の前で貧血になっちゃったから、仕方ないかもしれないけど。
「大丈夫よ。あの日はたまたま体調が悪かっただけで」