あなたの「おやすみ」で眠りにつきたい。
「おはよう」
無愛想な声でオフィスに入ってきたのは、主任だ。
「あ、おはようございます」
「おはようございます」
春日くんと私は彼に挨拶を返す。
おかげで、春日くんから体調不良についての追及はされずに済みそうだ。
「春日くん、アポの時間大丈夫なの?」
「あ、そうだ!行って参ります」
「今から『山さ』か?」
「はい。『山さ』のアポ貰ってます」
鞄を片手に、春日くんは元気一杯、オフィスを出ていく。
その後ろ姿に思わず、頑張ってと手を振った。
後ろ姿が消えて、パソコンに視線を移したが……。
春日くん。勢い余って、どこかを壁にぶつけたらしく、ゴンッという鈍い音と、いてッという悲鳴が聞こえた。
「大丈夫?」
私は彼が出ていった方向を見て、声を上げた。
「大丈夫です!行ってきます!!」
そんな声だけが返ってきて、私は苦笑する。
「そそっかしい奴だな」
主任は呆れた様子で、春日くんが出ていった場所を見つめていた。
「彼のファンに言わせたら、あんな所がきっと可愛いって言いますよ?」
「女の好みは俺にはよくわからない」
主任は席に着いて、パソコンのマウスを触り始めた。
相変わらず、スーツ姿で仕事をすると様になりますね。