あなたの「おやすみ」で眠りにつきたい。


5年前。
俺が標的になった。

綾音と出逢う前の話だ。

仕事中にも度々話しかけられ、昼休みも何故か俺の所に割り込んできたりした。

トイレから出たら、必ず近くにいた。

しまいには、後をつけられて、家の場所までバレてしまった。

それだけなら、俺自身の問題で済んだのに。
吉岡さんは、当時俺の家に出入りしていた恋人に、あることないことを吹き込んで、別れさせようとしたのだ。

俺は不甲斐ないことに、何も気が付かなかった。知ったのは、別れてからしばらく経ち、偶然再会したときだ。
ある日突然、身に覚えのない浮気話を指摘され、別れを告げられた。

大学時代に知り合い、付き合って3年。
結婚を視野に入れていた女だった。

突然の恋人の別れと吉岡さんのエスカレートする行動に、疲弊しきった俺は、ある日過労で倒れた。

< 159 / 234 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop