あなたの「おやすみ」で眠りにつきたい。


眠り姫も白雪姫も。
目が覚めると、そこには素敵な王子さまがいて。

お姫様は恋に落ちるの。

……そんな話に憧れるのは、無垢な子供の頃だけで。

大人になれば、現実はそんなことがあるわけないと知る。

「……気付きましたか?中田さん」

ほら。やっぱり。

目を覚まして、そばにいたのは、私の大好きな人ではない。
医務室の優しいおばさま先生だ。

多忙な主任が私のそばにいてくれるはずない。

「……私……」

「会社で倒れて、医務室に運ばれてきたのよ。覚えてる?」

「……なんとなく」

主任の言葉を聞いたあと、突然貧血に襲われて、立っていられなかった。

< 83 / 234 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop