あなたの「おやすみ」で眠りにつきたい。


玄関に入った途端、身体の力が抜けた。

どうしようという言葉がまず頭に浮かんだ。

井上主任と矢田部長に謝って、早退した。その足でそのまま、家の最寄り駅にある産婦人科に寄ったのだ。

医務室の先生の予想は的中。
私の心の中にあった不安は現実のものとなってしまった。

「おめでとう、だって」

ぺったんぽんなお腹に触れる。
ここに命があるのだという事がいまいち信じられない。

六週目だという。

「主任の子供……なんだよね」

勇輝と別れたのは2ヶ月以上前。

どう計算しても、主任の子供だ。
どうしよう……。

ヘッドハンティングの話で悩んでいる主任に、このことを告げてもいいの?

また、悩みの種を増やすだけだよね……。

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