あなたに贈るホラー短編小説
僕は全力で道路を走ったが、

白鳥ミナミに会うことは

できなかった。






僕は立ち止まり、

走ることを止め、

大粒の汗を拭いながら、

肩で息をしていた。






〈 僕が来た道は、

反対方向の道だった……。




僕はいつだって、

進むべき道の逆を歩いてきた。




今日だってそう……。




僕は、どうして、

願いが叶う道を

選べないのだろう? 〉






つかみかけた僕の夢は、

僕の手のひらから

ポロリとこぼれ落ちた。






〈 ミナミさん、僕はもう一度、

ミナミさんに会えるかな? 〉






僕は心の中でそうつぶやき、

つまらないリアルが待つ

コンビニへと歩き始めた。






〈 明日はいいこと、

あるといいね 〉






僕の頭の中で、何度も聞いた

白鳥ミナミの声がした。






〈 ミナミさん、今晩、

またパソコンの前で

会いましょう。




大地カケルは、

白鳥ミナミが大好きです 〉






僕は夜が来るのが、

待ち遠しかった。






夜になれば、僕はまた

白鳥ミナミに会えるから……。
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