sweetlove
「なんかあったんだろ?あの写真は合成じゃないことくらいすぐにわかった」そう岬さんは、言うと、私を優しく離した。

私たちは座り直した。

「拓斗さんがね、消沈して現れたの。事故の後遺症で選手生命を絶たれて、上に彼女には振られたって。生きる希望が沸いてこなくて悩んでたら体が勝手にここに来てたって。そんなこと聞いたらほっとけなくて、抱き締めてしまったの。拓斗さんは私にとってスゴく大切な人だし…見てられなくて…そばにいてやりたくなった」と私は言った。

岬さんは、しばらく無言で何かを考えていたようだった。

そしてしばらくして口を開いた。

「なら、俺ら別れよう」って。

いきなりのことで完全にフリーズ。

言ってる意味がわからなかった。

「あの人のそばにいてやってほしい」

岬さんの口からそんな言葉が出てくるなんて思ってもなかった。

私は大粒の涙を流すしか出来なかった。

そんな私を優しく抱き締めてくれた岬さん。

「ゴメンな。苦しませて。けど…忘れないでほしい、お前のこと、必ず迎えにくるから。それまでの間、あの人のそばに…」と岬さんは言った。

頷くしか出来なかった。私たちは今は離れるという決断をしたのであって、けしてダメになったわけじゃないことを汲み取った。

私たちはキスをする。

約束のキス…次会うときは結婚しようと誓って。

その日の放課後ー

ダイチさんと、みよりには伝えた。

そして、私たちが別れたことを噂になるように仕向けた。

「お似合いだったのに~」と詳しい理由を言わなかった私たちにそんな声をかけてくれるバスケ部のメンバーたち。

「協力してくれたのに、ごめんなさい」と私は頭を下げた。

けど…露骨に別れた感を出せば不思議に思われるかもしれない。

だから、戻ることにした、付き合う前の私と岬さんの関係に。
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