おにいちゃんの友達
お昼ご飯を食べ終わって、おばちゃんは紅茶を入れてくれた。

そして、手作りのパウンドケーキも!

「うわ、おいしい!ほんとおばちゃんてお料理上手だよねぇ。うちのお母さんにも教えてやってほしいわ。」

「ユイカのお母さんだって、それなりに上手じゃない。上手だけど作るのが面倒臭いだけかな。」

「そうそう。面倒くさがり屋だわ。私もだけど。」

おばちゃんは紅茶を飲みながら、声を出して笑った。

「それはそうと、今日は何か話があって来たんじゃないの?」

ティーカップを両手で包みながら、私にゆっくりと尋ねた。

「うん。まぁいろいろとね。」

少し緊張する。

話したいことはいっぱいあったのに、いざそのタイミングになると、何からどうやって話し始めたらいいか戸惑った。

突然恋愛話もなぁ。

「ねぇ。あゆみおばちゃんはどうして結婚しなかったの?」

ふと、頭に浮かんだことを口に出してしまった。

これって、禁句だったのかな。

だけど、これだけ素敵な女性なのにどうして結婚しなかったのかっていうのが、私には最大の謎でもあった。

おばちゃんは少し目を丸くして、すぐに微笑んだ。

「なにそれ。ユイカの悩み相談じゃないじゃない。」

「うん。わかってる。私はまた後で。」

「おばちゃんの話聞いたって大しておもしろくもなんともないと思うけど。まぁ、反面教師にはなるかな。」

「反面教師?」

「そう、おばちゃんみたいになっちゃだめよってこと。」

「おばちゃんは今を後悔してるの?」
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