おにいちゃんの友達
「後悔かぁ・・・後悔してるなんて言ったら自分を否定しちゃうみたいだから言わないけど、でも、もっと違う選択肢もあったのかもなぁっていうのは時々思うのよ。」

「違う選択肢?」

「私だって、大恋愛の一つや二つちゃんとしてきたのよ。全く恋と無縁ではなかったわ。」

「えー!やっぱりそうだよねぇ!あゆみおばちゃんの恋愛話聞かせて!」

少し興奮気味に身を乗り出した。

だって、こんな話初めてなんだもの。

「嫌だわ、この年になってユイカに私の恋愛話聞かせるなんてね。でもまぁ、誰か一人くらいに聞いといてもらってもいいかも。ユイカにも少しは為になる話入ってるかもしれないし。」

「そうだよ。これからの私の恋愛教本にするから!」

「教本だなんて、そんな大層な話でもないけどね。ん、まぁ私がまだ心の片隅にしこりになって残ってる男性との話しようかな。ユイカみたいなお子ちゃまには理解できるかどうかはわからないけどね。」

「もう!またそんな子供扱いして。大丈夫、きっと理解できるから。」

「あはは、それはどうだかぁ。ま、いいわ。」

あゆみおばちゃんはそう言うと、紅茶を一口飲んで静かに深呼吸した。

「私は大学時代から仲のいい仲間がいてね。よく一緒に飲みに行ったり、旅行に行ったりね。それは楽しかったわ。もちろんそのメンバーには男性も何人かいて、次第に親しくなっていった男性が一人できて、たまに二人で出かけるような時もあったの。」

「えー、付き合ってたの?」
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